アリオス株式会社 液中プラズマ

液中プラズマ

マイクロ波による液中プラズマ

Microwave plasma in liquid
Microwave plasma in liquid was produced. Microwave is supplied by rectangular waveguide. plasma source is tapered coaxial type. Top of the inner electrode is exposed to water bath. Microwave frequency is 2.45GHz. Plasma was discharged when investing the microwave power of 1 kW. At the same time, gaseous bubble spouted. H-α (656nm) and O* (777nm) peaks were identified from emission spectrum(Fig.4). In the longest case, the plasma discharge was retained about 1 hour.

はじめに

アリオスでは現在マイクロ波励起、無電極による水中でのプラズマ発生を模索しています。 プラズマ中では熱や電磁波のほか、ラジカル、イオンなど様々な反応活性種が生成します。 液中プラズマではこれらを利用して水質改善、殺菌、有機物分解、 表面改質、反応促進をはじめとして様々な用途への応用が可能となります。
これらの研究においては、多くは液中に電極を入れ、直流、交流あるいはパルス電圧を印加してプラズマを発生させています1-3)。 電極材料の腐蝕及び溶出が問題となる用途では、無電極化が必要となります。 一方、液中でのプラズマ発生は、気体の場合より高いエネルギー密度を必要とします。(→水中でのマイクロ波の速度)
電極を挿入する方法においても、気泡を導入する、減圧するなど放電条件を緩和することが試みられています。

実験

Fig.1に実験装置の概略図を、Fig.2に水中プラズマ源本体を示します。
導波管を用いて、2.45GHz の連続マイクロ波電力を供給し、同軸導波管変換器により同軸に変換します。 さらに同軸構造をテーパー状に小さくしていく事により電界を集中させ、その先端部 を水槽の内側に露出しました。 先端部の外部導体の穴径は、直径2mmとし、わずかに内部導体を突出させ、 内部導体は、防水を兼ねたPTFE樹脂で支えました。電極は材質にタングステンを使用し、 プラズマ光の波長は分光器により測定しました。水は純水を用い、大気圧下で実験を行いました。
fig1 fig2

Fig.1:Schematic diagram of microwave plasma in liquid/ Fig.2:Schematic diagram of microwave plasma in liquid

結果・考察

水中プラズマ源は1kWの電力投入で、プラズマが発生しました。
プラズマ発生の画像を Fig.3 に示します。 非常に明るく青白い炎状の長さ約50mmプラズマが水中に吹き出しているように見え、プラズマとともに気泡が発生しました。 プラズマの熱により水が蒸発するため純水を注ぎ足しながら放電を続けたところ1時間以上の放電が確認されました。 この水中プラズマは、液相 → 気相 → プラズマの過程をたどると考えられます。 Fig.3に水中プラズマ源の発光スペクトルを示します。水を分解して出来る水素と酸素の発光スペクトルが観測されます。 (→水素の発光スペクトル)

fig3

Fig.3 Image of plasma in pure water.

参考図書

  1. N. Sano et. al., Chem. Phys. Let 378(2003)29.
  2. L.P.Biro et. al., Chem. Phys. Let. 372(2003)399.
  3. A.T.Sugiarto et. al., J. Electrostatics 58(2003)135
  4. M.I.T. WAVELENGTH TABLES Vol.2 Wavelengths Element, (1991), MIT Press

関連動画

アリオスでは、マイクロ波液中プラズマについて研究開発を行っています。マイクロ波液中プラズマは、ナノ粒子の生成、水質浄化など多くの応用が見いだされており、装置の開発が急務となっております。 ご要求にお応えすべく努力を続けております。

マイクロ波液中プラズマ紹介動画

以下URLにマイクロ波液中プラズマの技術概要の紹介動画を掲載しています。
・Youtube
https://youtu.be/GxVLowZZa2k

マイクロ波液中プラズマ高速度撮影動画

この動画は、上方より マイクロ波 を100Hzのパルスとして印加して液中プラズマを発生させた画像です。プラズマ発生と気泡発生がほぼ同時に起こり、熱膨張により拡大、マイクロ波停止と同時にプラズマが消え、気泡が収縮に転じる様子を観察することが出来ます。 通常のカメラで撮影すると、プラズマ放電が液中に伸びているように見えますが、高速度撮影では、気泡内に留まることがわかります。 研究用装置の製造を承っております。詳細はお問い合わせください。

マイクロ波液中プラズマによるナノ粒子生成の画像

マイクロ波液中プラズマを用いて、ナノ粒子を生成することが可能です。液中プラズマでナノ粒子を生成する方法は2つあります。一つは、溶液に金属塩を溶かしておき、これをプラズマで還元する方法、もう一つはナノ粒子化したい材料で電極を作り、これをプラズマの熱で蒸発、凝縮させてナノ粒子を得る方法です。これは前者の方法、すなわち金属塩を還元する方法で製造している動画です。数十秒であっという間に溶液が濁ってくるのが見えます。このように非常に高速かつ大量のナノ粒子を製造することが可能です。

マイクロ波液中プラズマによる酸性水の製造

マイクロ波液中プラズマによって、水を酸性化することが可能です。画像では、左端の計器がpH計であり、液体のpHを測定します。22秒を過ぎたあたりからpHは急激に低下し始め、3.3台になります。こうして製造した酸性水は、保存しておいてもpHが上昇することはありません。また、水道水と等量まぜると、ほぼ中性になります。除菌等の用途が考えられますが、法律上の縛りなど実用化にはいくつか障壁があります。世界中には不衛生な水によって命を落とされる人々がたくさんいらっしゃいます。こうした方々のお役に立てればとも考えています。

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