人工衛生などの通信では、人工衛星が回転し偏波面の固定ができないことなどから、円偏波による通信が用いられます。
たとえば BS放送では、右旋円偏波が使われています。また、右旋回と左旋回のマイクロ波は一つのアンテナから同時に発信できるとともに、
受信アンテナにより分離できるので、混信防止のためにこの 2つの円偏波が使い分けられることがあります。
円偏波はプラズマ励起においても有用です。磁界を印加したプラズマでは、らせん運動となるため、らせん運動の回転方向と偏波の回転方向を一致させれば、効率的に電子の加熱が可能なことは容易に想像できます。
そこで、円偏波を作れるかどうかシミュレーションで確認してみました。円偏波を伝送するためには矩形型の導波管ではなく、円形導波管が必要です。この円形導波管の内部に何か細工をしてやって円偏波を作り出します。
この方法は、いくつかありますが、最も簡便な方法の一つに 1/4λ 波長板を差し込むという方法があります。
これは、円形導波管の中に直線偏波の偏波面とは 45°傾いた角度に誘電体を入れてやる方法です。
1/4λ だからといっても、長さが 1/4λ というわけではなくて、もう少し長いです。この誘電体の形状は、いろいろ試行錯誤しましたが、最終的には梶本セラミックスさんにご教授頂きました。
そこで、その結果を GIFアニメの動画で示します。シミュレータは COSMOL マルチフィジックスを使いました。
誘電体の挿入角度で左旋回、右旋回と作り分けることができることが分かると思います。なお、この状態では設計に改良の余地があります。
よく見てみると、マイクロ波が波長板の前後で反射を生じ、入射側に定在波が発生し、入射電力の偏波面も傾くことがわかります。マイクロ波の電力使用の場合は、波長板での反射は簡単な方法で回避できるので、あまり問題ではありません。
また、出力側では、シミュレーションの問題ですが、ポートでも反射が生じ後半部分で反射波が観測されます。
図1:1/4λ波長板を使った円偏波変換器のシミュレーション画像
(Figure 1. Simulation animation of Circular polarizer by COMSOL Multiphysics)
Frequency is 2.45GHz. Circular waveguide with 1/4lambda plate is used.
円偏波変換器のご相談は、042-546-4811(お電話)または、お問い合わせまでお願い申し上げます。
当社関連製品
導波管部品