A:影響される場合が多いです。ですから、プロセス時のプラズマパラメータをそのまま測定するというより、相対的な差を見るとお考えください。また、プローブを入れることによって、チャンバーや電極を汚損することもあります。
A:プローブを構成する材料がエッチングされることに留意してください。エッチングレートが非常に速ければ、測定中にプローブが変形し、正確な測定が行えなくなってしまいます。測定中の変形のおそれがないようでしたら、わりと正確な測定が行えることが多いです。
また、フッ素系のエッチングガスを使う場合は、条件によって堆積が起きることがあります。この場合は、成膜装置と同じ問題があります。
A:ラングミュアプローブへの成膜によって、測定は影響を受けることがあります。こうした影響を排除するためにもなるべく短時間で測定を行うのが良いでしょう。
処理ソフトウエア LMP-100SCAN を使って、電圧を一気に走査することは非常に有効な手段です。
一般に絶縁物の成膜では、電極に膜が堆積し電気的導通がとれなくなり、測定不能になったり測定値が変化することがあります。導電性物質の成膜では、プローブの絶縁管に堆積し、やがて電極が絶縁破壊を起こし、測定できなくなります。
成膜を防止するため、プローブを加熱あるいは冷却して成膜条件から外す、プローブに高電圧を印加してボンバードし成膜を阻止する、成膜の影響を受けにくいデザインにするなどの方法により、測定時間を長くすることができる場合があります。
・ラングミュアプローブはお貸し出しできます
・どのような条件でプラズマ診断をされたいか・・・まずはご相談ください。
A:条件によるプラズマの差を見るなど、一応の測定は可能です。しかしながら、プラズマ密度、電子温度などの パラメータ の正確な測定は難しい場合があります。また、測定用電源に RF 電界が印加されると、故障する可能性があります。RF 対策を行ったプローブを使用することを推奨します。
VHF を含む RF 及び LF 帯の交流を電源としたプラズマでは、プラズマ電位にこれらの交流電界が乗っているため、直流電圧を印加しているプローブとの間に、これらの交流電界との差が生じるため相対的な電位の変動があることになり、正しい測定が行えません。
正しく測定するためには、例えば プローブをプラズマ中の交流電界に追従させて、プラズマと同じように電位的に動かして、電位差を解消する方法があります。
プローブと測定器との間に低域通過型フィルターを入れることは、測定用電源の破壊を防ぐことに関しては効果が期待できますが、正しい測定が行えないことに注意してください。
なお、マイクロ波帯領域では、イオンの運動が交流電界に追従しないためか、通常のプローブでパラメータ測定が可能です。
①:RFの影響を受けたときのプローブの電圧電流特性
②:図1の電流を対数目盛としたグラフ
黒い点線は RFの影響が無い場合で、電子電流流入領域と電子飽和領域との境界すなわち、プラズマ電位をグラフからも読み取ることが可能です。
青い一点鎖線は RF電圧の影響が小さい場合です。電子電流流入領域が低電圧側にシフトし、電子飽和領域との境界があいまいになってきます。
赤い線は RF電圧の影響が大きい場合です。リニアなグラフでは、曲線の傾きは単調増加を示し、プラズマ電位を読み取ることができません。
いずれの場合も、片対数グラフにプロットしなおすと、プラズマ電位を読み取ることが可能になりますが、誤差が生じます。
図1のシミュレーショングラフを片対数に書き直したグラフを 図2に示します。
RF電圧の影響が大きくなるに従いプラズマ電位は低電圧側にシフトします。電子温度の算出はさほど影響を受けないようです。
しかし、プラズマ電位の変化とあわせて考えると、EEDF は大きく変化してしまうと予想されます。
A:接地電極あるいは接地部位近傍では測定可能です。高電圧電極側では、工夫が必要です。 一般に、浮遊電位 がラングミュアプローブに印加できる電位の範囲内より、充分に小さければ測定が可能です。 それ以外の場合、解決方法はいくつかありますが、ラングミュアプローブ周辺に接地電極を入れて、 周辺の電位を 0V 付近にしてしまうという方法もありますが、電位勾配が乱れるのであまり良いとはいえません。ダブルプローブなどの手法でプローブをフローティングさせる、 ラングミュアプローブ側の電源電圧の可変範囲を広げるのが根本的な解決方法です。
A:上の方の電圧の急峻な部分が、ステップ的に急激に変化していませんでしょうか?もしそうであれば、電極先端で放電しています。
もしプローブが視覚的に確認できるなら、電圧印加時に先端でポッと明るくなっているのを見ることができるはずです。
RF や LF 励起のプラズマを通常のプローブで測定したり、過度な電圧を印加すると生じる現象です。
プローブの形状や面積を変更することで、放電する電位を多少高電圧側にシフトさせることができるようですが、大きな効果は期待できません。
プローブの形状については プローブ先端電極の大きさと形状について をご参照下さい。
A:原理的には可能ですが、実際には困難だと思います。
イオン温度 (イオンエネルギー) については、グリッド電極を付加したファラデーカップ電極による測定が確実と考えます。
A:できますが、磁界による誤差を生じますので、絶対的な値の評価はできません。
この状態で算出されたパラメータは、経時変化などを監視する相対的な値として使うことは可能です。
A:プラズマ電位 の点、すなわち指数的に変化する電子電流流入領域と飽和特性を示す電子飽和領域の変曲点は非常にわかりにくく、リニアなグラフにプロットした場合、見つけられないことが多々あります。
この場合は、縦軸をログスケールにしたセミログスケールのグラフ(片対数グラフ)でプロットすると、それぞれの領域はほぼ直線になりますので、直線の交点として見つける事が可能になります。Excel 表計算ソフトでプロットしている場合は、簡単な操作でログスケールにすることが可能ですので、お試しください。
この変曲点がわかりにくい理由は、プローブ周囲のシースが、電位差の増大により大きくなり、見かけ上の表面積が増加するためです。また前述のように RF電圧の影響によっても同様にわかりにくくなります。
A1:プラズマが熱プラズマである場合―
極めて高温となるために、プローブが過熱し、短時間に損傷する可能性が高いです。
この対応については、温度にもよりますが短時間で測定する測定系の構築が必要になります。また、印加電圧 10V で数 A といった電流が流れますので、真空プラズマとは異なった電源系が必要になります。
※測定での留意点
大気圧であるためにプラズマの局所性が高く、数 mm の位置ずれ、わずかな揺らぎ、風量の変化などでプラズマパラメータが大きく変化します。
A2:非熱平衡プラズマである場合―
V-I特性を得て、それより各パラメータを算出することは可能です。
※測定での留意点
大気圧非熱平衡プラズマは、パルスなどで間欠的に電子を加速する場合が多く、結果的に、プラズマが明滅あるいは明暗を繰り返している状態になっています。
通常のラングミュアプローブによるプラズマ測定では、この明滅の速度より測定時間が長いので、結果的に点滅の平均値を測定している形になります。
加速された電子エネルギーを知りたい場合には瞬時あるいは同期計測などの方法があります。
測定方法はケースバイケースで最適な方法が異なります。詳細に関しましては、ご相談いただければ幸いです。
シングルラングミュアプローブ LPMシリーズ
マルチポイントラングミュアプローブ測定システム
・ラングミュアプローブお貸し出し
・大気圧プラズマにおけるプラズマ診断・・・・各種ご相談できます。