A:海外メーカーの製品では、WR340 という規格の導波管がよく使われています。
WRI-22 (WRJ-2) ぐらいの大きさ (寸法参考:導波管) で、
幅が少し狭い形状であれば海外メーカー製である可能性があります。
また、マグネトロンを取り付ける導波管は、取り付けねじの関係で、WRI-22 (WRJ-2) よりも横幅を狭く設計することがあります。
もし、日本メーカー製のマイクロ波電源でマグネトロン直後ならば、コチラの可能性が高いです。
いずれの場合もアダプターを使って汎用の導波管に変換できます。
アダプターは、もし寸法に余裕があるならば、損失が少ないテーパー型のものを使うと良いでしょう。
短い距離で変換したい場合は、ステップ型の変換器があります。
当社では 導波管部品 を特殊導波管の製作も承っております。
ご使用環境やご希望の形をお伝え下さい。
A:空間の中を進行する電磁波は、磁場最大の位置と電界最大の位置が一致しますので、このようなことは不可能です。 しかし、共振箱によって定在波を発生させると、磁場最大と電界最大の位置が90度ずれますので、電界強度の小さい磁場印加が可能になります。
図1:定在波中の磁界と電界
A:電磁波の進行速度は、マクスウエルの電磁方程式から波動方程式を導くことにより以下のように表せます。
水の透磁率 μ は、真空のそれと同一と見なすことができますが、比誘電率は 80 もありますので、結果的に水中での速度は真空中の 約1/9 になります。また、波長もそれに伴い 約1/9 となり、約14mm になります。
A:もし、反射電力をゼロにする必要がないのであれば、反射電力があっても OK な場合があります。
13.56MHz など RF の場合は、アイソレータがないので、反射電力は送信段の電力素子で消費されることになります。送信段のトランジスタは定格に対し余裕があまりない使い方をするので、反射電力を消費する余裕は小さく結果的に過大な反射電力があると熱的に破壊してしまいます。
一方、マイクロ波の場合は、アイソレータによって反射電力を吸収できますので、電源側の反射電力をゼロにする必要はないのです。また、発振素子がマグネトロンである場合、マグネトロン自体がある程度の反射電力を許容しますので、アイソレータがなくても良い場合があります。
電子レンジがこれにあたります。電子レンジの中に食品を入れずに電源を入れると、反射電力がほぼ 100% の状態になります。発振素子がソリッドステートの場合は、RFと同様な理由でアイソレータは必須です。
プロセス的に考えると、プロセスが最良である時の条件では、マイクロ波の反射電力がゼロではない場合も多々あり、反射電力ゼロにこだわらないほうが良いかと思います。特にプラズマではその場合が多いです。
機能的、省電力の観点から、電力の無駄である反射電力を極力抑えたい場合があります。チューナーを使って反射電力がゼロにならない場合は、伝送路と負荷のインピーダンス整合を調整することで、改善できる場合があります。
伝送路の特性インピーダンスは、導波管であれば 約300Ω、同軸であれば、外部導体と内部導体の直径比を変更することによって特性インピーダンスを調整することができます。
図2:容易に共振構造を実現できる可動式アイリス
また、共振構造を作って反射電力を低減することも可能です。チューナーは共振構造の端とも考えることができますが、空間的な広がりがあるため共振構造としては Qをあまり上げることはできません。Qの高い共振構造を作る手段として導波管の中にアイリスを挿入する方法があります。 図2 に可動式アイリスを示します。なお、アイリスの開口穴は負荷の状態によって調整します。概して、負荷に大きな損失がある場合は穴の面積を大きくし、小さい場合は小さくします。 また、可変アイリス は上下左右から板を挿入することにより開口寸法を変更でき、任意の値のリアクタンス素子を作ることができます。
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A:プラズマや加熱用途用の 2.45 GHz マイクロ波を発生させる電源には、大きく分けて 3つの種類があります。
最も安価で、一般にマイクロ波電源とはこれを指します。電子レンジと同様にマグネトロンという真空管を使いマイクロ波を発生させます。電子レンジとの相違は、電子レンジが食品の加熱に限定されているので、出力が断続であるのに対し、プラズマ用に作られた電源は出力が連続である点です。
電子レンジは、安価なトランス方式の場合は商用周波数で、インバーター式の場合は数十 kHzの周波数で出力が断続しています。これに対し、プラズマ用はマグネトロンのアノード電流を直流で印加しますので、連続出力になります。また、プロセスによっては、断続的なプラズマを必要とする場合があり、この場合はカソード電圧を制御してパルス出力を作り出しています。
発振周波数はマグネトロンの自励周波数となります。一般に電力用途のマグネトロンの発振周波数は安定度が悪く、±25 MHz 前後でドリフトしています。このため、空洞共振器などと組み合わせて使った場合、必要な電界強度が得られないといったことが起きます。この対策のためには、ソリッドステート電源、周波数安定型マグネトロン式の電源などを検討する必要があります。
マグネトロンを使わず半導体素子によってマイクロ波発振を行う方式です。携帯電話基地局の派生技術として、製造されることもあり、近年安価になってきています。
この周波数帯の半導体素子の出力はまだまだ小さく、100W 程度です。
プラズマ発生に必要な電力を得るには、多数の素子を並列接続する必要がある場合があり、回路が複雑になりロスも多くなります。
また、素子が高価でマグネトロン式と比較するとまだ高価であるといえますが、2013年現在 100~200 W といった小電力では、条件によってはマグネトロンと比肩できるほどの価格競争力が出てきています。
これはマグネトロン方式が、電力が小さくなっても構成が同じなので、数 kW 電源と比較してコストがあまり下がらないという事情もあります。
また ソリッドステート電源のメリット・デメリット でも説明しております通り、半導体の特性が充分ではなく、効率がまだ低いこともデメリットといえます。
メリットは 周波数、出力の安定度がマグネトロンと比較にならないほど良好であることです。周波数ドリフトは、水晶振動子と同等になりますので 10-6 以下が期待できます。
周波数の安定性は、プラズマ発生においてはきわめて顕著な効果をもたらします。プラズマ発生では共振構造とすることが多いため、この周波数変動は電界強度低下、反射電力増加のデメリットが生じます。
構造的に特に共振構造にしない場合であっても、チューナーと負荷との間で実質的な共振構造が出来ますので、チューナーで反射電力を調整している状態では、周波数変動は共振構造と同様な悪影響を与えます。
また、終端プランジャーの調整も同様なことがいえます。
実際に使ってみると、まず終端プランジャーの調整に対して、きわめてセンシティブに反射電力の減少が見られることがあげられます。
可変アイリスとの組み合わせについては ソリッドステートマイクロ波電源との組合せ をご覧下さい。
周波数が安定すると、共振構造をとることが多いプラズマ源では顕著に反射電力を減らすことが可能になり、電力効率が良くなります。しかしながら周波数安定が確約されているソリッドステート形は、終段に使える素子の許容電力の制限から kW 級の電源はまだ割高です。
近年、周波数安定型のマグネトロン電源が各社から発売されています。この電源は、マグネトロンの発振周波数を制御することにより、ほぼソリッドステート電源に近い周波数安定度が得られる形式の電源です。
この形式の電源は各社から発売されており、6 kW で 300 万円代から各種あります。通常のマグネトロンを使用した電源に比較し、ソリッドステートに近いシャープなチューニング特性が得られます。
弊社でも周波数安定型電源を取り扱っております。詳細はお問い合わせください。
参考文献
1、吉田他, "マイクロ波電源の種別による出力波形への影響", 第6回日本電磁波エネルギー応用学会シンポジウム予稿集 pp46-47, JEMEA, (2012)
マイクロ波ラジカル源 EMRS-211Q
マイクロ波イオン源 EMIS-211C
小型マイクロ波イオン源 EMIS-111Q
超小型マイクロ波プラズマ源 SMPS-201
マイクロ波プラズマ実験装置 MiPC-1000
導波管部品
同軸ケーブル用スリースタブチューナー TSTB-201A