流量の単位と換算ツール
流量の単位 sccm ccm slm
真空装置において、各種ガスを真空装置内に導入することがよくあります。
このときの流量の単位が、sccm ccm slm などです。これらの単位は、私が調べた限りでは公的機関が規格として管理している単位ではないようです。
そのため、各社が個々別々の基準で使用している可能性もあることをご了解ください。
ccm
cc (cm
3)/min、1分間あたりに 何ccという形式で流量を表示します。
通常は、
1気圧 で sccm と同じに扱われることもありますが、室温付近で定義される場合もあります。
sccm
standard cc/min、1atm (大気圧 1013 hPa)、
0℃あるいは 25℃など一定温度で規格化された ccmです。
温度は0℃ が多いのですが、メーカーによって定義が異なる場合があります。
精密な数値が必要な場合は各メーカーに御相談ください。
slm,slpm
standard liter (リットル)/min、1atm、0℃ における 1分間辺りの流量をリットルで表示した単位です。
当然のことながら、sccm に対し、1000倍の単位となります。
他に排気ポンプでは、L/s、m
3/h などの単位が使われます。この場合は圧力を規定していないコンダクタンスであるため、流量は圧力に応じて変化します。気体の圧力が 1気圧の場合は、下表のように換算できます。
|
sccm (= ccm) |
slm (= Lm) |
L/s |
m3/h |
m3/s |
sccm |
1 |
10-3 |
1.667×10-5 |
6×10-5 |
1.667×10-8 |
きちんと調べたわけではないのですが、slm と slpm の使い分けはなされていないようで、
SEMI標準規格においてもこの2つが使われています。概して slpm のほうが多く使われる傾向があるようです。
ガスを変えた場合の変換レート
マスフローコントローラなどでは、あらかじめガス種にあわせて値が構成されています。
そのため、指定以外でのガスを使用する場合は、改めて校正するか、
表示値に係数をかけて読み替えることが必要になります。
Cv値からの単位の換算
バルブのコンダクタンスを表すのに Cv値 という単位を良くみかけることがあります。
この単位は、ISO 準拠でも MKS単位系 でもないのです。
このような単位を堂々と使う国は一つしかないのですが、それでも使われているのはデファクトスタンダードの哀しさであり大いなる弊害です。
そうも言っていられないので、Cv値から sccm への変換についてご説明します。
また、
真空技術ハンドブック には、コンダクタンスの計算について分かりやすく書かれていてオススメです。
Cv値とは
Cv (Coefficient of flow) は、バルブの前後で差圧ΔPがあり、60°F (約15℃) の水が1分間で Qガロン(米)流れたとすると以下の式で表されます。
|
Q : 1分間あたりに流れる液体の体積 (ガロン) |
ΔP :バルブ前後の差圧 (単位 psi) |
S.G : 60°Fの水を1としたときの比重 |
これがCvの定義と思われます。
式の形としては、オリフィス流量計の流量を求める式を変形した形になっています。
ただし、一見してわかるように粘性が考慮されていません。ですから、Cv値は流れる液体により異なってきます。
国際単位系に変換しますと下表のようになります。
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Q : 1分間あたりに流れる液体の体積 (cc) |
ΔP : バルブ前後の差圧 (単位 Pa) |
S.G : 15℃の水を1としたときの比重 |
ガスの場合
バルブ前後の差圧が2倍以上ある場合は、臨界流と定義されます。
真空容器内へのガス供給の場合などが、これに該当します。このときのCv値は、
|
Qg : 1分間あたりに流れる気体の体積 (sccm) |
ΔP : バルブ一次側の絶対圧力 (単位Pa) |
S.G : 20℃ 1気圧 (100kPa) の空気を 1としたときのガスの比重 |
T : 温度 K |
300°K 近傍、一次側が 1気圧の空気を真空装置にバルブで供給する場合は、およそ
となります。